中学2年生の時に光速を超える伝達方法を考えた話
物心ついた時からモノづくりが好きだった。少々屁理屈な性格と根拠なき頑固な思考が特徴の23歳の今だけども、幼少期は今とは想像もつかない程明るくはっちゃけていたことはよく覚えている。
何故あんなにも明るかったのか今では理解に苦しむが、今回はその理由に迫ることはよそう。
私が小学生の頃にハマったことの1つに宇宙があった。
図書館に行っては高学年しか立ち入ることが禁止されているかのような境界線を超え、図鑑が置かれている所に通い片っ端からモノづくりや宇宙に関する本を読み漁った。
今ではそのほんの一部しか記憶にないが、当時は宇宙の広さと想像もつかない様子にかなり興味津々だったのだ。ちなみに同時期に遺伝子や人間が生きている理由についても興味を持った。後にジーンダイバーに出会うと少年は泣きに泣いて夢中になったのだった。
とにかく漫画やアニメよりも、宇宙とかモノづくり等に興味があるちょっと変わった子供だったらしい。
高学年になり、そして中学に進学してもその性格は変わらず、中学でも宇宙に関する本を読み漁った。特に私の通っている中学では毎朝好きな本を読むという時間があり、数ヶ月で図書館の宇宙本を全て読み終えてしまった。
読みたい本が無くなった私は、皆に人気な小説や面白おかしい本を仕方なく手にしたがやはり物足りなかった。そんなこんなで宇宙に関する本を色んな書棚から探す日々が続いた。
ある時これまで読んでいた宇宙本とは格別にレベルの高い分厚い本に出会った。確か図鑑の様な洋書の様な本が並ぶ棚から見つけた本で、中身はニュートリノに関する内容だった。(恐らく)
完全に中学生レベルを超えた本だった事は確かで、かなり興味津々に読み進めたのを今でも覚えている。勿論内容自体は既に記憶からこぼれてしまっているが、その時見たニュートリノとか暗黒物質とか言う宇宙全体を満たしているという物質に妙に惹かれてしまった。
俗にいう中二病的なそれだったかも知れない。でも小学生の頃から好きだった宇宙にそんな中二的な得体の知れない物質が存在すると知れば、それはもうその当時の少年にはパラダイスだったのかも知れない。
私はその時「いわゆるダークマターが宇宙を満たしている」という衝撃を知った。もうかれこれ数十年が経つため今ではニュートリノや暗黒物質がどんなものなのか説明することも出来ない。が当時の私はこの事実をスポンジの様に受け入れ、そしてある1つの考えがひらめいた。
それは宇宙全体がビーズ玉の様な未知の物質で満たされているなら、そのビーズ玉をポンッと押せば衝撃が直ぐ隣に伝わり、将棋倒しの様に数十光年先まで衝撃が伝わるのではないか?と。
そしてこの衝撃をモールス信号のようにバリエーションを変えれば数十光年先の人とコミュニケーションがとれるかもしれない。そういうアイデアが浮かんだのだ。
高校入学と同時に宇宙の本を読み漁ることは無くなり、ロボコンに精を出した私。ぶっちぎりで県大会突破し全国大会でもそれなりの順位を頂いた。宇宙の本を読まなくなってしまい数十年。勿論興味はあるが中々手にすることが出来ずにもう23歳になってしまった。ただあの時浮かんだアイデアは何故か今も忘れること無く、大事に大事に記憶の片隅にしまっていたりする。
今考えれば勿論そんなアイデア面白おかしい話なんだけれども、中々面白い発想ではないかと我ながら思ったり。
その時しか思い描くことが出来ない淡く素直な発想。常識に汚れた今の自分に果たしてまだ生み出す事が出来るのか、自問自答するループにハマりそうな憂鬱な時がそっと今訪れた。