3分で理解できる自己保持回路の仕組み(シーケンス制御)
どうも、MacBook Proを使い始めて4日目の私(@こふす)です。
さてさて、今回はいつもの記事とは異なるカテゴリーでお送りします。皆さん自己保持回路と聞いてピンとくる方いますでしょうか。
論理回路を利用するすべての回路に基本的な原理として利用されており、この概念は皆さんお使いのPCやスマホ、身の回りにある様々なものに活用されています。
特段自己保持回路を理解したからといってドウコウなるものではないですが、デジタル・ネイティブ社会を生きるのであれば是非とも知っておきたいでしょう。というわけで3分で理解できるようまとめてみましたのでご覧ください。
閲覧者の指摘で気が付きましたが、回路図にてプラス側とマイナス側が逆になっています。ご注意下さい。
自己保持回路を理解するべし〜論理回路入門
取り敢えず分かりやすいように図を用意しました。全て図で以って説明するので多分分かりやすいと思います 笑
簡単に言うと自己保持回路とは
説明を始める前に自己保持回路とは一体何なのかを言葉で説明しましょう。自己保持回路とは自分で電源経路を保持する回路の事をいいます。
まずは基本的な回路図を見てみましょう。これは多分多くの方が知っている基本的な回路ですね。電源とスイッチとランプが繋がっている直列回路です。
注目して欲しいのはスイッチの方です。回路図で表記されているスイッチはトグルスイッチなんて言ったりしますが、ようはON・OFFにするとその状態を保持することができるわけですね。
こういった状態を保持できるスイッチ(トグルスイッチとか)がこれですね。よく見る一般的なスイッチになります。
状態を保持できるスイッチを使えば、ONにしていればONが維持できて、上記の回路で言えば一度人の手でONにするとランプが光り続けます。ランプを消したいときはもう一度人の手でOFFをすればランプは消え続けます。
ではもう一度同様の回路図を見てみましょう。電源とランプは同じですがスイッチが先程とは異なり、この記号図は押しボタン式スイッチを表します。
押しボタン式スイッチはその名の通り押している間だけONにする事が出来るスイッチです。例えばこういったスイッチがそうですね。
押しボタン式スイッチを利用する機会は実は多く、例えばデバイスのスイッチなんかにもよく利用されていますよね。iPhoneのスリープボタンも押しボタン式スイッチの一種です。押しボタン式スイッチのメリットは何と言ってもデジタル信号に似ているという点です。押している間だけON状態に出来るため、様々な使い方ができます。
しかしながら上記の回路図の様な一般的な回路で使用してしまうと、ランプを付け続けるためには人が常にスイッチを押している必要があります。現実的にそういった使い方は限られてきますよね。例えば部屋の明かりを押しボタン式だとして、明かりをつけるためにずっとスイッチの前に立ちボタンを押すわけにはいかないですよね。
そこで利用するのが自己保持回路です。今回は上記回路を元に自己保持回路を利用してみる例を分かりやすく紹介します。
肝となるのはリレー(電磁式スイッチ)
リレーと聞いて何を思い浮かべるでしょうか。運動会や陸上競技のリレーを思い浮かべる方も多いでしょうが、ここでいうリレーとは電磁式スイッチの事を言い、こういう形をしています。大小様々なタイプがありますが大体こんな感じです。
回路図で言うとこんな風な記号図で表記されます。若干バリエーションがあり正確な記号ではないですが、ここでは分かりやすいよう長方形で表記します。
自己保持回路を理解するためにはリレーの仕組みと動きを理解する必要があります。まずリレーの中身を簡潔に表記してみました。実際はもう少し複雑ですが、動作原理はほぼ同じなので気にしないでOKです。
リレーの中にはコイルが入っています。コイルに繋がっている線は電源に繋がります。このコイルは理科でも習う電磁石で、電気を流すとその時だけ磁力を持ちます。そしてコイルの下には鉄心で出来たスイッチがあります。電磁石の磁力で引きつけられ、スイッチがONになります。リレーとは電磁式スイッチとも呼ばれるように、電気を流すことでスイッチのON・OFFを間接的に制御することができます。
間接的に制御できると様々なことができて、自己保持回路でもこのリレーの特性を大いに活用します。
ではリレーを活用した回路を見てみましょう一気に自己保持回路に近づいてきましたがまだまだ完成ではありません。この回路図はリレーを活用した一般的な回路です。先ほど説明したとおり、リレーは電源を流せばリレー内部にあるスイッチを電磁石を用いてON・OFFすることができます。リレー内部のスイッチの先にはランプが繋がっています。
順を追って説明すると、赤色の押しボタン式スイッチを人が押す
→リレーに電気が流れる
→電磁石がリレー内部のスイッチを引き寄せONにする
→内部のスイッチに接続されたランプが光る
となります。簡単に言うと元スイッチをONにして更にリレーで小スイッチをONにしてランプを光らせているわけですね。
なんとなくリレーの使い道が分かったところで先程のリレーを使った実際の自己保持回路を見ていきましょう。この回路図を見てすぐに理解するのは中々難しいでしょうが、順を追えば意外と簡単な仕組みです。
自己保持回路の仕組み
赤の線が電気が進んでいく流れとしましょう。押しボタン式スイッチをONにするとリレーに電気が流れ、リレー内部のスイッチがONになります。同時にランプも光るのがわかりますよね。
さて、注目したいのは押しボタン式スイッチから手を離した時です。当然スイッチはOFF状態になりリレーにも電気が流れず動かなくなると思いますよね。でも押しボタン式スイッチをONにした時に内部のスイッチがONになり、内部スイッチの先には電源があります。
電源から①の経路を辿ってリレー内部にもランプにも電気が流れます。自己保持回路とはこういう回路のことを言います。自ら回路を保持するわけですね。
まるで生きているかのように回路が回路であり続けるために自ら電源経路を繋ぎ留める事ができます。面白いですよね。
自己保持回路の解除
さて上記で説明した自己保持回路では、押しボタン式スイッチから手を離しても電気の流れが止まることはありません。しかしながら一度押してしまうと永遠と電気が流れることになります。これでは使い勝手が悪いです。
実は自己保持回路を使うときは上記のような回路図は使わずに、下記の回路図のように途中にリセットスイッチを設けた回路を用います。リレー内部のスイッチ経路から電気が流れていますが、リレー内部スイッチのすぐ近くに①のリセットスイッチを挟んでいます。リセットスイッチと書くとなんか特殊感がありますが、ただ単に最初から既にスイッチがONになっていて、人の手で押すことでOFFになる逆動作をするスイッチです。
リセットスイッチはb接点、通常のスイッチはa接点なんて言ったりします。
ラダー図で描くともっと分かりやすい
実際に自己保持回路をリレーを用いて作るというのはあまりありません。デジタルデバイスに搭載するためにはある程度コンパクトにしないといけないので、ここらへんは全てデジタル処理をするというのが一般的です。
デジタル処理すなわちプログラミングをすることになりますが、こういった論理回路はラダー図という言うならば回路図をコンパクトに分かりやすくした形で表記します。実際にプログラミングするときもラダー図を直接PC上で組んだり、また文字入力したりします。
ちなみに自己保持回路はラダー図で描くとこんなにもシンプルに表記できてしまいます。a接点というのは押しボタン式スイッチのことです。a接点が押され、初期状態で繋がっているb接点を通り、(M1)と(PL)へ流れます。(M1)はリレーのことで、(PL)はパイロットランプのことです。a接点の下に同じ記号でM1がありますが、(M1)に影響されますよという事を表しています。まぁ(M1)はリレーなのでM1というスイッチが押されることになります。
後は回路図と同様にa接点を押さずともM1を経由して電気が流れることが出来るわけですね。自己保持状態を解除したいときはb接点をONにすれば回路が切れるため、(M1)に電気は流れず、M1のスイッチもOFFになります。
さていかがだったでしょうか。自己保持回路についてよく理解できたのではないでしょうか!自己保持回路はシーケンス制御でも活用されており、最も一般的な動的回路になります。自己保持回路を理解することで様々な回路に触れられる入り口になり、どういった仕組みで様々なものが動いているのかが見えてきます。例えば日常生活で言えば横断歩道用の押しスイッチには自己保持回路が多く使われています。エレベーターのボタンも一度押せば光り続けますよね。基本的にON状態を維持することが出来るものには全て活用されており、シーケンス制御されたものには大抵この自己保持という概念が用いられています。
日頃からデジタル製品に囲まれているわけなので、自己保持回路ぐらいは知っておくとドヤれるかもしれないですね(笑)
ちなみに半導体などの素子が凄いのは、こういったリレーを使わずとも状態を保持することが出来る点です。そのため自己保持回路を用いなくとも自己保持を再現することができます。スマホのライトアプリなんかはリレーを使わずともタッチするだけで光らせることができますよね。